南海本線や高野線、泉北高速線の沿線から新今宮乗り換えで天王寺まで通勤定期券を使って通勤されている方って結構いらっしゃるんではないでしょうか。
しかし、新今宮から天王寺って距離にしてわずか1km、歩けない距離でもないにもかかわらずここだけ会社が違うので運賃が別建てなんですよね。
大抵は勤め先から交通費が支給されるでしょうからそれなら自分の財布が痛むことはありませんが、それでもなにか勿体なぁと思われることってありませんか?
そんなあなたに朗報です!なんと、このJRの定期区間を1駅ないし2駅伸ばしても、区間によっては運賃が変わらないんです!
今回はそんなちょっとトクするお話を皆さんにしたいと思います。
≪下に続く≫
そもそも皆さんは鉄道の運賃ってどのように決まっているかご存知ですか?たまに「間の駅数で決まっているんじゃないの?」とか、「駅間ごとにそれぞれ決められているんじゃないの?」と思われている方がいらっしゃいますが、これは実は誤りです。
では何で決まっているのか。ズバリ、発着駅間の距離です。厳密には営業キロというもので、一部の例外をのぞき実際のキロ程をもとに算出されています。
これを時刻表などの運賃表に当てはめ、「大阪から京都は42.8kmだから表のこの段を見て…」といった具合に運賃を調べるのです。
ではこの運賃表を実際に見てみましょう。
(https://www.jr-odekake.net/railroad/ticket/guide/normal_tickets/normal_fare05.htmlより引用)
これは大阪の電車特定区間と呼ばれる区間の運賃表です。電車特定区間というのは大阪と東京に設けられていて、ほかの線区より運賃が安く設定されています。
北は京都から西は神戸、南は和歌山、東は奈良までが大阪の電車特定区間に含まれています。新今宮〜天王寺間はこれよりさらに安い「大阪環状線内」に含まれますが、3kmまでの場合は運賃に変わりはないので記事の構成上こちらの表を使用させていただきます。
運賃表を見てみると、運賃は営業キロの最小単位である0.1kmやキリのいい1km単位ではなく、数キロごとに設定されているのが分かります。
はじめは3kmごとに始まり、5kmごと、10kmごとと少しずつ幅が広がっているのが分かります。この表にはありませんが、往復運賃などが適用され始める601kmを超えると、40kmごとの設定となったりします。
と、このようにご覧いただいたのは普通運賃の運賃表ですが、今度は定期運賃の運賃表を見てみましょう。
(中略)
(JTB時刻表より引用)
さきほどのJR西日本のページに掲載されていないので実際の紙の時刻表からの引用となりますが、さきほどと同じく1kmから100kmまでの運賃表にもかかわらず、その量は比べ物になりません。
よく見ると、さきほどと異なりどこまで進んでも1kmごとに運賃が設定されているのがわかります。
おそらく皆さんの頭の中にも漠然と「ふつうに券売機できっぷを買うときは少し先の駅や手前の駅とも運賃が変わらなかったりするのに、定期だと1駅変わるだけで値段も全然変わるよなぁ」という感覚があると思います。
それの正体が、この2つの運賃表なのです。
しかし、定期の運賃表の一番上をよく見ると、あることに気がつきます。そう、はじめだけ1〜3km、つまり普通運賃と同じ区分で設定されているのです。
また、30kmまでは表では別の区分であっても運賃は変動しないという現象が発生しているのもわかります。そして、この変動は普通運賃の区分と全く同じです。
つまり、短距離であれば普通運賃が同額の区間では定期運賃も同額となる、ということがわかります。
前置きが長くなりましたが、これを新今宮から天王寺の場合に当てはめます。新今宮から天王寺は営業キロ1.0kmで、普通運賃は130円、定期運賃は3,960円となります。
これは先ほどの発見より営業キロ3kmまでは同じ。ではまず天王寺から奥に伸ばしていきます。
関西本線(大和路線)方向に伸ばすと、次は東部市場前という駅に着きます。新今宮からの営業キロは3.4km。小数点以下は切り上げですから運賃表では4kmとなり、3kmを超えてしまいます。これは残念。
気を取り直して、大阪環状線内回り方面へ伸ばします。天王寺の次は寺田町です。営業キロは2.0km。つまり一駅伸ばしても定期運賃は変わりません。
阪和線方面へ伸ばしても同じです。次の美章園までは2.5kmで3km以下に収まります。
今度は新今宮から環状線外回り方面へ伸ばしてみます。
新今宮の次は今宮駅。天王寺からの営業キロは2.2kmで悠々収まります。それどころかさらに一駅伸ばして芦原橋までにしてみても、2.8kmとギリギリ収まり運賃はそのままです。
どうせ同じ運賃なら、長い距離で買っておきたいですよね。しかし中には「どこもパッとしない駅だし、あまり用はないなぁ…」と考える方がおられるかもしれません。
ところが、定期券というのは必ずしも定期区間にのみ効力を発揮するわけではありません。
例えば京都の一駅手前、西大路駅に用事があるとき。真面目に新今宮から天王寺までの区間分しか買っていないと、運賃は新今宮〜芦原橋〜西大路間の運賃、940円を支払う必要があります。
対して芦原橋までの定期を買っておくと、新今宮〜芦原橋間の営業キロを差し引くことができ、運賃は810円に収まります。
投資も必要なく、ただ定期の区間を伸ばすだけでお金が浮くのであれば、これを使わないではないでしょう。
最後になりましたが、注意点が2つほどあります。
まず一つは、これは通勤定期の場合に限定されるということ。通学定期の場合は、自宅の最寄駅と学校の最寄駅とを最も合理的に結ぶ区間のみが発売の対象となりますので、たとえ同額であっても区間を弄ることはできません。
そしてもう一つ、これは芦原橋に伸ばした場合に限られるのですが、南海線との連絡定期が発売できず、南海とJRとで別々に購入する必要が出てきます。
連絡定期に限らず定期券を1枚で発売できる条件は1本線、ないしはOの字、6の字となる場合に限定されます。
対して南海線+新今宮〜天王寺+新今宮〜芦原橋の場合、Tの字となってしまうので発売が不可となります。
どうしても1枚にまとめたいという場合は寺田町ないしは美章園方面に伸ばすことを検討してください。
ちなみに私も南海線+新今宮〜天王寺が実際乗車の区間なんですが、定期を分けてJRの区間を芦原橋にまで伸ばしています。
しかし、新今宮から天王寺って距離にしてわずか1km、歩けない距離でもないにもかかわらずここだけ会社が違うので運賃が別建てなんですよね。
大抵は勤め先から交通費が支給されるでしょうからそれなら自分の財布が痛むことはありませんが、それでもなにか勿体なぁと思われることってありませんか?
そんなあなたに朗報です!なんと、このJRの定期区間を1駅ないし2駅伸ばしても、区間によっては運賃が変わらないんです!
今回はそんなちょっとトクするお話を皆さんにしたいと思います。
≪下に続く≫
そもそも皆さんは鉄道の運賃ってどのように決まっているかご存知ですか?たまに「間の駅数で決まっているんじゃないの?」とか、「駅間ごとにそれぞれ決められているんじゃないの?」と思われている方がいらっしゃいますが、これは実は誤りです。
では何で決まっているのか。ズバリ、発着駅間の距離です。厳密には営業キロというもので、一部の例外をのぞき実際のキロ程をもとに算出されています。
これを時刻表などの運賃表に当てはめ、「大阪から京都は42.8kmだから表のこの段を見て…」といった具合に運賃を調べるのです。
ではこの運賃表を実際に見てみましょう。
(https://www.jr-odekake.net/railroad/ticket/guide/normal_tickets/normal_fare05.htmlより引用)
これは大阪の電車特定区間と呼ばれる区間の運賃表です。電車特定区間というのは大阪と東京に設けられていて、ほかの線区より運賃が安く設定されています。
北は京都から西は神戸、南は和歌山、東は奈良までが大阪の電車特定区間に含まれています。新今宮〜天王寺間はこれよりさらに安い「大阪環状線内」に含まれますが、3kmまでの場合は運賃に変わりはないので記事の構成上こちらの表を使用させていただきます。
運賃表を見てみると、運賃は営業キロの最小単位である0.1kmやキリのいい1km単位ではなく、数キロごとに設定されているのが分かります。
はじめは3kmごとに始まり、5kmごと、10kmごとと少しずつ幅が広がっているのが分かります。この表にはありませんが、往復運賃などが適用され始める601kmを超えると、40kmごとの設定となったりします。
と、このようにご覧いただいたのは普通運賃の運賃表ですが、今度は定期運賃の運賃表を見てみましょう。
(中略)
(JTB時刻表より引用)
さきほどのJR西日本のページに掲載されていないので実際の紙の時刻表からの引用となりますが、さきほどと同じく1kmから100kmまでの運賃表にもかかわらず、その量は比べ物になりません。
よく見ると、さきほどと異なりどこまで進んでも1kmごとに運賃が設定されているのがわかります。
おそらく皆さんの頭の中にも漠然と「ふつうに券売機できっぷを買うときは少し先の駅や手前の駅とも運賃が変わらなかったりするのに、定期だと1駅変わるだけで値段も全然変わるよなぁ」という感覚があると思います。
それの正体が、この2つの運賃表なのです。
しかし、定期の運賃表の一番上をよく見ると、あることに気がつきます。そう、はじめだけ1〜3km、つまり普通運賃と同じ区分で設定されているのです。
また、30kmまでは表では別の区分であっても運賃は変動しないという現象が発生しているのもわかります。そして、この変動は普通運賃の区分と全く同じです。
つまり、短距離であれば普通運賃が同額の区間では定期運賃も同額となる、ということがわかります。
前置きが長くなりましたが、これを新今宮から天王寺の場合に当てはめます。新今宮から天王寺は営業キロ1.0kmで、普通運賃は130円、定期運賃は3,960円となります。
これは先ほどの発見より営業キロ3kmまでは同じ。ではまず天王寺から奥に伸ばしていきます。
関西本線(大和路線)方向に伸ばすと、次は東部市場前という駅に着きます。新今宮からの営業キロは3.4km。小数点以下は切り上げですから運賃表では4kmとなり、3kmを超えてしまいます。これは残念。
気を取り直して、大阪環状線内回り方面へ伸ばします。天王寺の次は寺田町です。営業キロは2.0km。つまり一駅伸ばしても定期運賃は変わりません。
阪和線方面へ伸ばしても同じです。次の美章園までは2.5kmで3km以下に収まります。
今度は新今宮から環状線外回り方面へ伸ばしてみます。
新今宮の次は今宮駅。天王寺からの営業キロは2.2kmで悠々収まります。それどころかさらに一駅伸ばして芦原橋までにしてみても、2.8kmとギリギリ収まり運賃はそのままです。
どうせ同じ運賃なら、長い距離で買っておきたいですよね。しかし中には「どこもパッとしない駅だし、あまり用はないなぁ…」と考える方がおられるかもしれません。
ところが、定期券というのは必ずしも定期区間にのみ効力を発揮するわけではありません。
例えば京都の一駅手前、西大路駅に用事があるとき。真面目に新今宮から天王寺までの区間分しか買っていないと、運賃は新今宮〜芦原橋〜西大路間の運賃、940円を支払う必要があります。
対して芦原橋までの定期を買っておくと、新今宮〜芦原橋間の営業キロを差し引くことができ、運賃は810円に収まります。
投資も必要なく、ただ定期の区間を伸ばすだけでお金が浮くのであれば、これを使わないではないでしょう。
以下に、どの駅まで伸ばすとどの駅までの運賃を得できるかの早見表を添付しておきますので、ぜひ参考にしてください。
<芦原橋まで伸ばした場合>
<美章園まで伸ばした場合>
<寺田町まで伸ばした場合>
皆さんのたまに使う駅が表にあればその駅まで伸ばせばお得ですし、ない場合でももしかしたら表に掲載されていないだけで実際には安くなるという場合もありますので、ぜひ一度乗換検索アプリなどでお調べください。<芦原橋まで伸ばした場合>
目的駅 |
新今宮からの運賃 |
芦原橋からの運賃 |
差額 |
弁天町 |
160円 |
130円 |
▲30円 |
JR難波 |
160円 |
130円(今宮から) |
▲30円 |
西九条 |
180円 |
160円 |
▲20円 |
野田 |
180円 |
160円 |
▲20円 |
高槻 |
560円 |
470円 |
▲90円 |
西大路 |
940円 |
810円 |
▲130円 |
三ノ宮 |
730円 |
650円 |
▲80円 |
<美章園まで伸ばした場合>
目的駅 |
天王寺からの運賃 |
美章園からの運賃 |
差額 |
三国ヶ丘 |
220円 |
180円 |
▲40円 |
鳳 |
310円 |
220円 |
▲90円 |
和泉府中 |
400円 |
310円 |
▲90円 |
東岸和田 |
470円 |
400円 |
▲70円 |
関西空港 |
1,080円 |
990円 |
▲90円 |
和泉砂川 |
730円 |
650円 |
▲80円 |
海南 |
1,340円 |
1260円 |
▲80円 |
<寺田町まで伸ばした場合>
目的駅 |
天王寺からの運賃 |
寺田町からの運賃 |
差額 |
玉造 |
160円 |
130円 |
▲30円 |
京橋 |
180円 |
160円 |
▲20円 |
|
|
|
|
北新地 |
200円(新今宮から大阪) |
180円 |
▲20円 |
住道 |
310円 |
220円 |
▲90円 |
同志社前 |
770円 |
680円 |
▲90円 |
西大路 |
940円 |
810円 |
▲130円 |
最後になりましたが、注意点が2つほどあります。
まず一つは、これは通勤定期の場合に限定されるということ。通学定期の場合は、自宅の最寄駅と学校の最寄駅とを最も合理的に結ぶ区間のみが発売の対象となりますので、たとえ同額であっても区間を弄ることはできません。
そしてもう一つ、これは芦原橋に伸ばした場合に限られるのですが、南海線との連絡定期が発売できず、南海とJRとで別々に購入する必要が出てきます。
連絡定期に限らず定期券を1枚で発売できる条件は1本線、ないしはOの字、6の字となる場合に限定されます。
対して南海線+新今宮〜天王寺+新今宮〜芦原橋の場合、Tの字となってしまうので発売が不可となります。
どうしても1枚にまとめたいという場合は寺田町ないしは美章園方面に伸ばすことを検討してください。
ちなみに私も南海線+新今宮〜天王寺が実際乗車の区間なんですが、定期を分けてJRの区間を芦原橋にまで伸ばしています。
コメント
コメント一覧 (15)
今度からICOCAで1枚の定期券にできるようになるのに、台無しだね。
Kokugo_Railway_
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全部君に跳ね返るやんwww
Kokugo_Railway_
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面白い切符の発券方法や、旅行記は
楽しく拝読させて頂いております。
が、今回のは、アカン💦💦
西大路までの金額は、天王寺から
1枚の切符だと940円ですが、
大阪⇄京都は、私鉄競合だから
特別に別表で運賃の定めがあります。
大阪で分割させて2枚にするのが主流で
ちなみに570プラス200で770円です。
もちろん、天王寺から西大路も
分割させて2枚にするなら770円です。
ちなみに、新今宮から大阪までは180円だから
南海JR新今宮駅から西大路までは
750円なんですよね!!
神戸方面は知らないけど、
京都方面は、大阪で2枚分割払いが
1枚通しより安いから、仮に
1枚切符をどうしても買うなら別ですが
このコラムの試算やトクする差額は
全くオススメ出来る内容では有りません。
Kokugo_Railway_
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