大阪メトロでは、1回に限って乗車券の着駅を先にのばす乗越しを行うことができます。

また、大阪メトロでは梅田、西梅田、東梅田の3駅で乗り換える際はラッチ外乗換えとなり、所持する乗車券が発駅から乗継駅までの運賃に満たない場合は、精算を要します。

このとき、この扱いが「乗越し」扱いとなるのか否かが、ある限られた状況では重要となります。

というのも、例えば天王寺に初乗り180円の乗車券で入場、御堂筋線で梅田へ向かうとします。

梅田では上述の取扱いとなるため、天王寺〜梅田間の3区運賃の280円との差額を徴収されます。

その後、東梅田駅へゆき、東梅田駅から谷町線で大日駅へ向かうとします。このとき、天王寺〜大日までの運賃は4区運賃の330円となりますから、再び精算を要します。

ところが、乗越しは1回しか行えません。仮に梅田乗継駅での精算が「乗越し」となるのであれば、大日ではもう精算を行えず、梅田からは別途乗車という形で打ち切り計算を行わねばならなくなります。

今回は、梅田乗継駅での精算が乗越し扱いとなるのかどうか、考察してみます。




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1.「乗越し」の規則上の根拠

規則では、「乗越し」「乗継駅での精算」についてどのように定められているのでしょうか。

まず「乗越し」は、大阪市高速電気軌道旅客営業規則第107条によって「乗車変更」(JRの、正式名称を「乗車券類変更」という、いわゆるの「乗車変更」ではなく、使用開始後の「区間変更」に近い)の一種として規定されています。

そして、同109条では「旅客は、あらかじめ係員の承諾を受け、1回に限って、所持する普通券に表示された着駅を、その着駅を越えた駅に変更(以下「乗越し」という。)することができる」となっています。

この条文により、乗越しは1回しかできないと規定されています。

「その着駅を越えた駅に変更」というのがミソで、「下車をする駅」ではありません。

もし「下車をする駅」であれば、下車とは別物の「乗継」を行なう梅田乗継駅は除外されるのですが、「その着駅を越えた駅」であれば、梅田乗継駅も含む余地がありそうです。


2.「乗継駅での精算」の規則上の根拠

では、「乗継駅での精算」については、規則ではどうなっているのでしょうか。

実は、これについては旅客営業規則に定めがありません。

規則第73条2項では、「う回のため乗継駅相互間を乗り継ぐ場合において、発駅から当該乗継駅までの運賃が、乗車する発着駅相互間の普通運賃を超える場合は、当該乗車券で乗り継ぐことができない」とあるのですが、あくまでも「運賃が不足しているときには乗継できませんよ」と述べているに過ぎないのであって、どうすれば乗継できるのかは定められていません。

ところがそれでは不都合ですから、内部規則である「旅客営業細則」(JR東海以外の旅客会社のいう「旅客営業取扱基準規程」)で、「乗継駅における乗継乗車票・乗継精算券の精算方法」が定められており、「差額運賃又は別途運賃を精算することで、乗継乗車票又は乗継精算券を発行しますよ」という旨が規定されています。

しかし、いずれにしろ「乗継駅での精算は乗越しの扱いとはしない」旨の規定はありません。

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3.私の考察

私の考えですが、やはり規則第109条で「下車駅」と限定されていないこと、また乗継駅での精算を除外する旨の規定が存在しないことから、乗継駅での精算も「乗越し」であると見做さざるを得ないものだと思います。


4.大阪メトロの見解

これについて先日、大阪メトロの「鉄道事業本部 営業部 運賃収入・制度課」というところに問い合わせさせていただきました。

すると、「規則上はおっしゃる通り。だが、実際に乗継精算券を下車駅の乗越精算機に挿入するとどのような挙動をとるのかは不明」とのことでした。

お話をさせていただいた方は規則に非常にお詳しい方でしたから(営業制度に関する部署に所属されている、いわば「規則のプロフェッショナル」の方なのですから当然ですが)、規則上は1度目の精算の時点で打ち切りとなり別途乗車の扱いとなるというのは間違いないでしょう。

しかし、実務上は機械がOKを出すか否か、というところなのでしょうか。

機会があれば、ぜひ一度乗継精算機の挙動を確かめてみたいものです。

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