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JR東海はゴールデンウィーク中の利用状況を発表しました。

3年ぶりの行動制限のないゴールデンウィークということもあり東海道新幹線のぞみでは前年比約300%の輸送量を記録するなど概ね好調ですが、それでもコロナ禍前と比較すると各線区とも6割から8割程度の輸送量に留まり完全な終息はまだまだだというのがわかります。

そんな中でたったひとつだけコロナ禍前の2018年度の輸送量を上回った列車がありました。

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(https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000042025.pdfより引用、マーカーは筆者による)

それが上部、水色のマーカーで印をつけた「サンライズ」こと寝台特急サンライズ瀬戸・出雲号です。

サンライズ号は往年のブルートレインが姿を消した中唯一現存する定期寝台特急列車で、東京と出雲市(出雲号)、高松・琴平(瀬戸号、琴平行きは延長運転時のみ)とを結ぶ夢の列車です。

筆者もゴールデンウィーク中にサンライズに乗りましたが、確かに大盛況でした。またゴールデンウィーク中には定期のサンライズのほかに臨時便の「サンライズ出雲91・92号」も増発されますが、臨時サンライズは発売とほぼ同時に売り切れるほどの人気列車です。

背景には近年のサンライズブームが関係していそうです。サンライズブームにはさまざまな要因がありますが、人気鉄道系YouTuberなどによるサンライズの露出の増加やブルートレインを逃した第一世代が高校生、大学生となったことによる需要などが挙げられます。

またサンライズ号はすべての寝台が個室ですので列車内での感染を懸念する方からの需要もありそうです。

このほかJR西日本も同じくゴールデンウィーク中の利用状況を発表しましたが、米子支社の発表によると伯備線内ではJR東海管内を上回る2018年度比108%の利用がありました。


下関発着『ゆめ』、瀬戸号松山延長運転の復活あるか

サンライズ号の好調が報じられると各所からあがるのが以前存在した下関方面の臨時寝台特急「サンライズゆめ」号や四国方面の瀬戸号の松山延長運転の復活です。

ゆめ号は2008年まで運転されていた繁忙期運転の臨時列車で、定期のサンライズの後を追って下りは広島着、上りは下関発で定期のサンライズに先行して大阪にも停車し東京着という現在の91、92号の前身のような列車でした。

ただ現在サンライズによる山陽方面への旅行は岡山でみずほ号への乗継ぎというのが一般化しているので、そうであれば山陽方面ではなく現在の91、92号の山陰方面への運転というのが輸送効率は良さそうです。

一方で瀬戸の松山延長については一考の余地がありそうです。

過去に松山延長が行われていた際には朝一番の東京発の旅客機に負ける時間設定であったため利用者が伸びず廃止となってしまいましたが、サンライズに乗ることが目的であるという層が当時に比べて格段に増えたので、長くサンライズに乗っていられるというのはむしろアピールポイントになるように思います。

またゴールデンウィークや盆正月といった繁忙期には飛行機の値段も跳ね上がりますので、価格面での勝負も挑めそうです。

事業者側にとっても、特にJR四国は現在児島〜高松間44.0kmのみの受け持ちであり運賃、料金の取り分が非常に少ないことがネックですが、松山まで延長するとこれが186.6kmにまで伸び、東日本区間の東京〜熱海間104.6kmを上回ります。

もちろん実現は容易ではありませんが、JRの担当者の方が今回のデータを好意的に見てくだされば… という淡い期待は抱けそうです。