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 JRの大都市近郊区間内相互発着の乗車券の場合、経路が重複しなければどのようなルートで旅行しても最短経路で計算するという「選択乗車」の規定を応用した、いわゆる「大回り乗車」。

 この「大回り乗車」についてよく議論となるのが、「6の字大回り」と「大回り乗車中の別途乗車」です。これについては取り上げたり実行したりすると燃えそうなのでスルーしますが、もう一つ議論の的となるのが「大回り乗車中の継続乗車」です。

 継続乗車とは、旅客営業規則第155条に規定されたもので、「入場後に期限が過ぎた乗車券も、一定の制限のもとで引き続き使用できる」旨を定めたものです。

(継続乗車)
第155条 入場後に有効期間を経過した当該使用乗車券は、途中下車をしないでそのまま旅行を継続する場合に限って、その券面に表示された着駅までは、第147条の規定にかかわらず、これを使用することができる。この場合、接続駅において設備又は時間の関係上、旅客を一時出場させて、列車に接続のため待合せをさせるときは、指定した列車に乗り継ぐ場合に限り、継続乗車しているものとみなす。


 これを大回り乗車中にも適用できるか否か、が争点となるのです。


 例えば、「新大阪➡︎大阪(経由:東海道)」の乗車券で「新大阪~(JR京都線)~京都~(JR奈良線)~木津~(大和路線)~天王寺~(大阪環状線)~大阪」というルートで旅行を計画したが、途中の奈良駅で終電を迎えてしまった場合に、奈良で精算を要するのか、あるいは翌日の始発から引き続き旅行を続行できるのか、ということです。

 否定派、肯定派の主な意見は、以下のようになっています。

〔否定派の主な意見〕
・継続乗車は、最短経路であることが条件である
・改札を出場するのは原則的に不可である
・継続乗車はあくまでも午前0時を超過後、最終電車までの間の取り扱いについて定めたものである

〔肯定派の主な意見〕
・継続乗車適用時の経路について、規則で何らの規定はない
・選択乗車中の継続乗車が不可であるという規則もない
・終点後の駅締切は規則第155条の「設備又は時間の関係上」にあたり、始発列車等の列車の指定を受けて出場することができる
・大回り乗車で着駅を変更する際は区間変更の取扱いになるが(規第157条3項)、旅客営業規則第245条により午前0時を超過した場合はこれができず、引き続き継続乗車を認めざるを得ない

 私も、単純に規則を読めば肯定派の意見に一理あるような気がします。もし基準規程や通達などの内部規則で制限されていたとしても、鉄道営業法第3条1項によりその規定は適用できません。

 ところが、JR東日本に問い合わせたところ「大晦日の終夜運転時以外は不可」との回答があったという書き込みもあります。一方私が以前にJR西日本に問い合わせたところ、「原則的には可能。ただし明らかに当日中に旅行できないような経路での乗車の場合は取扱いできない場合もある」と明確に否定はしない旨の回答が届きました。

 やはりこの件についても、大回り乗車中の別途乗車と同じく「規則では結論を出せない」問題ではないでしょうか。

 少なくとも初心者の方には絶対におすすめできません。実施するならば、ある程度の理論武装が必要かと思います。


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