実際には発券してくださる駅や駅員さんもありますが、実は規則上は購入駅以外を始発とする乗車券は、JRのみどりの窓口では購入できないのです。しかしある方法を使えば購入することができます。今回はその方法をご紹介しましょう。
 そもそも購入駅以外を始発とする乗車券を購入できないというのは、旅客鉄道会社のとりきめである旅客営業規則の第20条に記されてあります。
(乗車券類の発売範囲)
第20条
駅において発売する乗車券類は、その駅から有効なものに限って発売する。ただし、次の各号に掲げる場合は、他駅から有効な乗車券類を発売することがある。(1)指定券と同時に使用する普通乗車券を発売する場合。
(2)乗車券(通学定期乗車券を除く。)を所持する旅客に対して、その券面の未使用区間の駅(着駅以外の駅については、途中下車のできる駅に限る。)を発駅とする普通乗車券を発売する場合。
(3)駅員無配置駅から有効となる普通乗車券、定期乗車券又は普通回数乗車券を、その駅員無配置駅に隣接する駅員配置駅において発売する場合。
(4)団体乗車券又は貸切乗車券を発売する場合。
(5)急行券、特別車両券、寝台券、コンパートメント券及び座席指定券を発売する場合。ただし、立席特急券及び特定特急券にあっては、別に定める駅からのものに限って発売することがある。
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車内において発売する乗車券類は、旅客の当該乗車に有効な普通乗車券及び旅客の乗車した列車に有効なものに限って発売する。ただし、前途の列車に有効な乗車券類を発売することがある。

 ではどうするか… このときに使えるのが、乗車変更です。乗車変更は「乗変」とも呼ばれるもので、1度までなら同じ種類のきっぷに変更できるというものです。こちらも旅客営業規則に定められています。

(乗車券類変更)

第248条
普通乗車券、急行券、特別車両券、寝台券、コンパートメント券又は座席指定券を所持する旅客は、旅行開始前又は使用開始前に、あらかじめ係員に申し出て、その承諾を受け、1回に限って、当該乗車券類から同種類の他の乗車券類に変更(この変更を「乗車券類変更」という。)することができる。ただし、次の各号に定める乗車券類の変更については、これを同種類のものとみなして取り扱うことができる。
(1)普通乗車券相互間の変更
(2)指定急行券以外の急行券相互間の変更
(3)自由席特別車両券(急行・自由席特別車両券(A)を含む。以下この条において同じ。)相互間の変更
(4)指定券(急行・指定席特別車両券(A)、急行・寝台券、急行・コンパートメント券及び急行・座席指定券を含む。以下この条において同じ。)相互間の変更
(5)指定急行券以外の急行券又は自由席特別車両券から指定券への変更

 ここでこの規則をよく見てほしいのですが、普通乗車券の変更については「普通乗車券相互間」において無制限にできるというふうになっています。

 即ち、例えば大阪駅のみどりの窓口で購入した大阪から新大阪の乗車券を、大阪駅のみどりの窓口で札幌から旭川までの乗車券に変更することも可能なのです。

 このように、その駅始発の初乗り乗車券を購入したのち任意の区間に乗変することで、その駅始発でない乗車券を発券することができるのです。

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​筆者が我孫子町駅で購入した羽沢横浜国大➡︎鶴見の乗車券。一度我孫子町➡︎杉本町で発券したのちこの券に乗車変更した。

​ しかしこの方法にはひとつ欠点があって、それが右上に「乗変」のマークがついてしまうこと。私は特に気にしませんが、どうしても乗変のマークをつけたくないという人がいるかもしれません。そんな方は、100円支出が嵩みますが、乗変マークをつけずに発券することができます。

 その方法を見つけ出すために、うえにあげた旅客営業規則第20条の(5)を読んでみましょう。これは購入駅以外を始発とする乗車券を発売するための条件のひとつですが、以下のように記されています。

(5)急行券、特別車両券、寝台券、コンパートメント券及び座席指定券を発売する場合。ただし、立席特急券及び特定特急券にあっては、別に定める駅からのものに限って発売することがある

 これを見ると、同時に特急券 (規則では「急行券」となっていますが、定期の急行列車は残存しておらず、また、特急券は急行券の一種です) を購入すればよいとなっています。

 このとき、特に「購入する乗車券の区間を通る、或いは接続する急行券を発売するときに限る」などの文言は書かれていませんから、大阪駅で東京から品川の乗車券を買うときに同時にJR四国のうずしお号の特急券を買ってもよいと解釈できます。

 もしも他に特急や新幹線に乗る用があるならばその券を買ってしまえば良いですが、そうでない人が乗りもしない特急券を買うというのは非常に勿体ないです。そこで活用できるのが、不要になった特急券の対処時にも用いられる博多南線の特定特急券です。詳細はほかの方のブログやWikipedia等当たっていただければと思いますが、博多南線は非常に特殊な路線で、特急料金が100円と格安に設定されます。なので、同時にこれを買ってしまえばよいわけです。

 万が一これで拒否されてしまった場合は、なるべく合理的な特急券、例えば札幌から旭川の乗車券ならそこを通る特急カムイやライラックの特急券を、特急の通らない草津から貴生川までの乗車券なら、米原から草津までの特急はるか号やワイドビューひだ号の特急券など、経路に触れたり近づいたりする特急券を同時に買った後に先程の「乗変」を使って博多南線の特定特急券に変えてしまえばよいのです。

 これで、100円こそかかるものの「乗変」マークをつけずに遠くの乗車券を購入することができます。


 しかしうえにあげた方法はいずれも多少の鉄道知識と時間が必要なもの。鉄道に疎かったり時間がなかったりする方も大勢おられるでしょう。そんな方は旅行会社で購入することをお勧めします。大手の旅行会社では、殆どがマルス端末を置いており、旅客営業規則も及びませんから日本全国のJR線の乗車券を購入することができます。

 残念ながらこれにも欠点があり、それが手数料を取られることがあること、そしてもうひとつがマルス券の右側に紫色の数字が印字されていることです。

 詳細は省きますが、駅置きのマルス券は長いロール紙を発券する際にカットして発券しますが、旅行会社のマルス券は予めカットされているのです。これをプリカットと言います。このとき、マルス券を紛失したり盗難にあったりしたら大変ですから、予め通し番号を刻んでおいて管理を容易にしているのです。

 「乗変」はマルスの印字ですからともかく、紫の数字はマルス端末が刻んだものではありませんから、私はこれが好きではなく、旅行会社での発券は滅多にしません。とはいえ鉄道に疎い人や時間のない人にはこの方法が一番手っ取り早いと思います。


 と、ここまで長々と説明しましたが、これはあくまで規則を解釈したらこうなるよ、ということであって駅で実際に発券してくれるかは別問題です。はじめの乗変を使う方法に関してはJR西日本は「規則上可能」としており私も実際に発券の経験があります。しかし博多南線の特定特急券を同時に購入する方法は試したことがありません。

 もし不安ならば、一度購入される駅の管轄の旅客鉄道会社に問い合わせてみることをお勧めします。できれば、会社がOKと言っているのに駅で発券してくれない時のためにメールで問い合わせてその回答を購入する駅に持っていくのが好ましいと思います。

▼実際に乗変を使って、JR西日本の我孫子町駅でJR東日本の羽沢横浜国大➡︎鶴見の乗車券を購入しました。▼